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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2018.08.07
2019.12.26

Google Homeを含めた統合OSになると言われている「Fuchsia」に秘められた本当の価値とは?

記事ライター:Yuta Tsukaoka

LinuxベースではないOS「Fuchsia」

Fuchsiaのメイン画面(モバイルモード)

(画像引用:ars TECHNICA)
https://arstechnica.com/gadgets/2017/05/googles-fuchsia-smartphone-os-dumps-linux-has-a-wild-new-ui/

本編に入る前に、まずはこの読みをはっきりさせよう。

国内メディアによって読みの表記は「フクシア」「フシア」などまちまちだが、CHM Techの動画を参考にするならば、「フューシャ」が近いはずだ。少なくとも、この記事ではそう読んでもらいたい。

(video:CHM Tech/ YouTube)

さて、米BloombergによってこのFuchsiaがGoogleの統合OSとして採用される可能性がある(正確にはそれを目指して開発している)ことが報じられて以来、さまざまなメディアにニュースが転載されているが、実際のところGoogleからは正式な発表がまだ何もないため、捉えどころのない内容にとどまっている。

ちなみにiedgeでも短報を掲載しているが、その域を出るものではない。

まず、このニュースを受け止めるときに重要なのが「LinuxベースのOSではない」という点だろう。
Linux自体がUNIX系と言われるOSの流れを汲んでおり、その歴史はいまここで紐解くにはあまりに長大なので割愛するが、現在では多くのOSがこの流れの上にあることは知っておいてもらいたい。

様々なデバイスが並べられている様子

身近なところだとAndroidが代表例だ。また、今年の4月に発表されたマイクロソフトの「Azure Sphere OS」もLinuxベースで作られている。ちなみに、Mac OSがLinuxベースと勘違いされることがあるが、あれはBSD UNIXベースなので親戚のようなものだが別物である。この勘違いで恥をかく人が多いのでご注意を。

とはいえ、スマート家電と言われる製品のほとんどがLinuxベースの組み込みOSを持っていることを考えると、いま我々の周りが実はLinuxで溢れていることは間違いない事実である。Linuxはそのくらいカスタマイズしやすく基本性能の高いOSなのだが、一方でここまで広まっているが故に、様々な問題も抱えてしまっている。

もっとも深刻なのがセキュリティの問題だ。あらゆるコンピュータ・ウィルスは感染先から情報を盗み出すか破壊するかといった目的で作られているが、いずれにせよ「感染可能なコンピュータ」は多いに越したことがない。

すると自然と、WindowsかLinuxベースのOSを搭載したコンピュータを狙って作られることになるのだ。

 

Googleにとっては訴訟問題の解決に繋がる一手でもある

クレジットカードとスマートフォンを手に持っている様子

Linuxベースではないということでセキュリティが高められるのは分かっていただけたと思う。Fuchsiaの目的のひとつもそこにあることは間違いないはずだ。

しかし、Googleにとってはもう一つ、大きなメリットがある。

それは、Oracleとの8年越しになる泥沼の訴訟問題を解決する一手になる可能性である。「Sun Microsystemsを傘下に収めるOracleが持つJavaに関する権利をAndroidが冒している」という訴訟が2010年に起こされ、実に8年もの間、争いが続いている。

今年の4月、この訴訟に大きな動きがあった。Google有利で進んでいた裁判で一転、Oracle側の主張が認められて9500億円の賠償金が認められたのである。もちろんGoogleは上訴の構えを見せているが、多くの人の予想を裏切った結果に焦りを感じているのも事実であろう。

そこでFuchsiaだ。これは先ほども説明したようにLinuxベースではないのでJavaに依存しておらず、Oracleとの訴訟には無関係でいられる。

Google関係者がBloombergにFuchsiaに関する情報をリークしたのにも、この裁判がGoogle敗訴で終わる可能性が高く、Fuchsiaの重要性が増したことが裏にあるだろう。

 次ページ >
Fuchsiaが見せるGoogle Homeの未来

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