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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2023.12.04
2023.12.04

Roborock S8 Pro Ultraにロボット掃除機の未来を見た

記事ライター:iedge編集部

ロボット掃除機を買い替えた

 2023年10月、コロナ禍で少しだけ流行った地方移住ブームに乗り切れなかった私は、今更になって都内から地方都市への移住を果たした。東京都の地区40年-14平米ワンルームマンションから地方都市の築5年-67平米2LDKへの引っ越し。最初は住宅の間取りや設備の違いに大変興奮していた私であったが、新居で暮らし始めて早々、掃除の大変さに気が付いた。

 都内の狭小マンションでもロボット掃除機を使っていた私ではあるが、それをいざ広大な新居で使ってみるとどうだろう。2年ほど前に買った格安のロボット掃除機はマッピング機能も高度なセンサーも持たず、新居の掃除を終える前にバッテリーがなくなる始末だ。

 ワンルームでともに過ごした相棒(ロボット掃除機)に引導を渡した私は、家電量販店で質の良さそうなロボット掃除機を見つけた。高い買い物ではあったが、これまで使っていたものより遥かに機能が豊富だ。今日はその使い勝手を皆様にもお伝えしていきたい。

Roborockのロボット掃除機を購入~外観・内容物~

 今回購入したのはBeijing Roborock Technology Co., Ltd(以下、本記事内ではロボロック社と記載する)が開発・製造している「Roborock S8 Pro Ultra」だ。これまで使っていたロボット掃除機はゴミの収集ドックがなく、本体内に溜まったゴミを定期的に捨てる必要があった。最近のハイエンドなロボット掃除機ではゴミ収集・水補充・充電を複合的に行えるドックがトレンドだが、S8 Pro Ultraも例にもれず大型のドックを備えている。以前までの狭小ワンルームであれば大型の充電ドックは邪魔にもなるが、1LDK以上の部屋の場合、掃除する面積の関係からもこのようなドックつきのもののほうが使い勝手が良いだろう。

外箱を開けると本体の組み立てガイドが入っている。IoT製品は使い始めるまでのセットアップに一苦労する場面も多いが、このように1枚のペーパーで手順が説明されている点は非常に親切だ。

組み立て後のドックはブラックカラーが部屋にしまりを与える。というインテリアデザイナーのようなコメントはさておき、サイズ感は石油ストーブに近い。

ロボット掃除機本体も同様に黒ベースのカラーリングだ。少し重さが気になるが、最初にドックにセットする以外は持ち上げることもないので問題でもないだろう。

横に並べて置いたのはiPhoneSE2だ。サイズ感的にはiPhone2台分くらいだろうか。ロボット掃除機では標準的なサイズのように思う。

気になった人もいるだろうが、ドックの上段はこのようになっている。S8 Pro Ultraは水拭き機能にも対応している。ゴミを吸いながら湿らせたモップでフローリングの水拭きもしてくれるのだが、真ん中がその際に使用する水を貯めるタンクになっている。きちんと取り外せる作りになっているので、蛇口まで持ち運んで楽に給水することができる。
ちなみにこの水拭き機能だが、どうも単に濡れたモップで床を拭いているわけではないらしい。毎分3,000回(最大)程度で高速振動し、きちんと荷重をかけながら床を拭いてくれるそうだ。この点もこれまで使っていたロボット掃除機とは大きく異なる。私が今まで使っていた機種は単に濡れたモップで床を撫でるだけで、床の汚れを落とすというよりは、吸いきれなかった塵を水分で集めるための機能に過ぎなかった。気になるS8 Pro Ultraの水拭き能力は本文の後半で検証しているのでぜひ確認してほしい。

話をドックに戻そう。左は排水を貯めるタンクになっており、水拭き後のモップがドックで自動洗浄された時に出てくる汚水を貯めるための場所になっている。こちらも給水タンク同様、取り外して洗面台まで持ち運ぶことができる。

 一番右側はゴミを貯めるための紙パックが入るようになっており、ロボット掃除機が集めたチリやホコリが、掃除後に自動で移される仕組みとなっている。安いロボット掃除機は本体からゴミを捨てる際にゴミの収集タンクに触れる必要があるが、S8 Pro Ultraではそのような行為も不要だ。ゴミが溜まりきったら密閉された紙パックを取り外して捨てるだけでよい。

気になるアプリは?

ロボット掃除機の使い勝手を決める要素のひとつは間違いなく操作用アプリだが、S8 Pro Ultraはその点でも心地よいロボット掃除機だった。まずは冒頭説明した手順書に沿ってアプリをインストールする。アプリ自体は他のロボロック社製品と共通のアプリのようで、複数製品を持っている人でもひとつのアプリで済む。

ロボロック社のアプリを使うのが初めてのため、まずはアカウントの作成から行った。国を指定しメールアドレスを入力すると、そのアドレス宛に認証コードが飛んでくる。それをアプリ内で入力すれば認証は完了だ。

認証後、本体をネットワークに接続する作業が必要となる。こちらも手順書通りに進めれば良いが、基本的な流れとしては①S8 Pro Ultraを接続したいWi-Fi(ネットワーク)に、アプリをインストールしたスマートフォンを接続する。②S8 Pro Ultraとスマートフォンを接続する。という流れで完了だ。全体的な作業自体は5分もかからず、特にセットアップに苦痛は生じなかった。

 接続後はS8 Pro Ultraの簡易設定に移行するが、こちらも特に身構える必要はない。使い始めるために複雑な設定は不要で、上の画像のように簡単な質問に答えるだけで完了となる。
(余談だが、最近Youtubeショートでロボット掃除機に巻き込まれるペットの動画を見てショックを受けていたので、愛犬・愛猫に配慮したロボロック社に感心してしまった。)

その後、マッピングの画面が表示された。こちらの設定も基本的にはS8 Pro Ultraにまかせておけるようで、基本的には初回掃除時にロボットが走行しながらマップを形成してくれる。それに対して、進入禁止エリア等を設定していく流れになる。

そうしてできあがった自宅のマップがこれだ。もちろんこんな奇怪な間取りではなく、これは使っていくうちに適宜修正されていくと思う。また、平面表示のマップだけではなく3Dモデルのマップを表示することもできる。この手の画面表示は使い勝手に直接影響はしないものの、ユーザーの細かな趣向に寄り添ったアプリというのはなんとも嬉しい。ちなみに私は立体の方が近未来感が出るので3Dモデルにした。

マッピングを完全にロボット任せにすることもできるが、人間が自らスキャンしてその手助けをすることもできる。ロボロック社のアプリからスキャンモードを起動して、家中をスキャンして回ると、右のようなメッシュモデルが生成される。これをもとにS8 Pro Ultraが掃除をするという仕組みだ。掃除はすべて機械に任せる日々になるので、その準備段階くらいは人間が仕事をするのも良いだろう。ただし、このスキャン機能は対応しているスマートフォンが限られるようで、使いたい場合はスキャン用のセンサーが搭載されている機種を用意する必要がある。

 とは言え、個人的にこのスキャンは高評価している。スマートフォン用の住宅スキャンアプリを最近よく見かけるものの、訪れた空間を3Dモデルで保存するのがその主な用途となっている。しかしながら、このスキャン技術をユーザーの利便性向上のために活用している点はとてもおもしろい。勝手ながら、最新の技術を自社製品内で活用できるようにした点には、メーカーとしてのポリシーを感じてしまう。

いざ初仕事。S8 Pro Ultraの働きはいかに?

諸々の設定が終わったので、いよいよS8 Pro Ultraに初仕事をさせてみた。以前購入したロボット掃除機はなんども壁にぶつかりながら、その度に愚直に方向転換を繰り返してワンルームを掃除したものだが、このハイエンド機種はいったいどのような掃除ぶりを見せてくれるのだろうか。

 充電を十分に行い、アプリから掃除を指示するとS8 Pro Ultraは軽やかに走り出した。と思いきや、壁の方に向きを変え、それに沿って動き出した。

最初は何をしているのか理解できなかったが、S8 Pro Ultraは部屋の外周を反時計周りに移動しながら掃除し、その後部屋の内側をつづら折りのように移動しながら掃除していくようだ。気分のままに掃除機をかける私とは違い、やはり機械は効率的に物事を処理してくれる。また、その際は、本体に搭載したセンサーを使い、壁に当たることなく的確に進んでいく。

動画のようにスマートに走り回ることは現在のロボット掃除機ではあたりまえなのかもしれないが、旧式品で認識が止まっていた私は感動を覚えてしまった。
床面の認識能力も高く、カーペットの上では自動的に吸引力が上昇する。その際、本体の後部にある床掃除用のモップはせり上がり、カーペットを濡らさないようになっている。ただし、走行できるのは厚さ4mmまでのカーペットが対象とのことで、それよりも厚いカーペットの場合はアプリから回避モードを指定する必要がある。欲を言えば、すべてのカーペットが掃除できるに越したことはないのだが、そもそも機種によってはカーペット上で長い毛が絡まり動けなくなることもあるので、自分で回避してくれるだけ十分優れているとも言える。

動画のようにソファやテーブルで奥まった場所もスムーズに掃除していく。

家具の脚にぶつかるだろうと思ったが、それも認識しているのか、華麗に避けながら進んでいく。

あっという間に壁一面を走り終えてしまった。

壁にそって一通り部屋を掃除した後の画面が上の画像である。掃除前のスキャンと違い、部屋の間取りが正確に反映されている。また、掃除の際にどのようなルートを辿ったのかも視覚的に把握できる。下手な人間に掃除を任せるよりも信頼できるのではないだろうか。

1度目の掃除から20分後、床にあった引っ越し荷物を片付け、S8 Pro Ultraが入れる範囲を広げてから、再度掃除をさせてみた。

 

結果はこの通りで、先程よりも詳細に家の間取りを把握し、障害物や段差にはきちんとピンが刺されている。家中がくまなく掃除されている点にも安心感を覚える。

掃除後はロボットがドックに戻り、水拭きモップの清掃やゴミの排出が行われる。

動画を見てもらえばわかるがやはり少々音はする。夜間にはおすすめできないが、掃除後に汚れたモップを自分の手で洗う必要がないのは精神的にだいぶ楽だ。

 

水拭き機能は本当に使えるのか?

 さて、先程触れた水拭きモップだが、はたして本当に意味があるのだろうか?S8 Pro Ultraをはじめ、最近のハイエンド機種には床の水拭き機能が搭載されていることが多いものの、いまいち信用できていない自分がいる。

 引っ越し直後の家なのに床に残る謎のシミ...当初は管理会社への不信感を招くだけの存在だったが、ちょうど良いのでこのシミがロボット掃除機で綺麗にできるか試してみようと思う。
ロボット掃除機がちょうどシミの上に来たところで、リモート操作モードを起動した。

リモート操作モードはラジコンのようにロボット掃除機を操作できるモードだ。S8 Pro Ultraではジョイスティックとボタンの2種類のUIから好きな方を選択して操作ができる。私が以前使っていたロボット掃除機はボタンしかなかったので、今回は慣れているボタン形式の画面で操作をした。

 何度かシミの上を往復し、無事に汚れを落とすことができた。

上が掃除後の床である。何かを垂らしたであろうシミが綺麗に掃除できている。クイックルワイパー等で自分で拭くこともできたのかもしれないが、それを言ったらロボット掃除機自体が不要になる。ロボット掃除機に任せられる範囲は広ければ広いほうが、我々の可処分時間は増え、それがより良い暮らしにつながっていくと思う。

まとめ

 S8 Pro Ultraは私のようなロボット掃除機の乗り換えユーザーにとっても、そしてこれから初めての1台を迎えるユーザーにとっても、非常に魅力的な製品だと思う。掃除の質そのものが非常に高く、家を常にクリーンアップした状態にしてくれるだろう。また、その使いやすさも大きく評価できる。ロボロック社のこれまでの取り組みが如実にあらわれたユーザー視点の高い名機だ。廉価な機種を買いたい人には当然価格帯は合わないが、良い製品を長く使いたいユーザーにとっては最も最適なロボット掃除機になるだろう。

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