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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2017.11.05
2019.05.01

人々の生活がスマートホームに“スイッチ”するにつれ、物理“スイッチ”はなくなるのか?

現在の私たちの生活に欠かせない様々な種類の「物理スイッチ」は、スマートホームが普及することによって、姿を消してしまうのでしょうか?また、特許を取得したAppleの「仮想スイッチ」とはどういったものなのでしょうか?

記事ライター:iedge編集部

スマートホームの普及によって物理スイッチはなくなってしまうのか?

仕事から帰って、玄関の目の前に着いたらスマホアプリで鍵を開け、センサーが感知すると照明が明るくなってカーテンが閉まったり、部屋の中は真夏でも快適な温度に保たれていて、帰宅後すぐにビールをグイッと飲み干せたりする……。

そんな夢のような生活が現実のものとなりつつあるスマートホームですが、実際に導入してみるとこれまで住宅には欠かせなかった「スイッチ」の存在意義について、ふと疑問を抱くようになります。

今現在、ほぼ全ての住宅には各所にスイッチがあります。

照明をオン・オフするためのスイッチ、換気扇をオン・オフするためのスイッチ、エアコンをコントロールするためのスイッチなど、種類はいくつかありますが、それらをまとめて「物理スイッチ」と言います。

ところがスマートホームではスイッチ入らずの設計が基本です。スマホやタブレットでアプリを開き、指先でそっとタップしたり、スマートスピーカーで命令したりするだけで照明、換気扇、エアコンなどが制御できるようになりますので、スマートホームにおいて物理スイッチは必要なくなってしまうのでしょうか?

スマートホームの普及によって、確かに物理スイッチはなくなってしまうかもしれませんが、どうやらそれは「今すぐ」というわけではなさそうです。

例えば、家の中にいたとしてもバッグの中、デスクの上、リビングのソファの上にスマホを置きっぱなしだったり、上着のポケットに入れっぱなしだったりなど、必ずしもスマホを携帯しているとは限りません。

「お手洗いに入って電気をつけようと思ったけどスマホがないと電気がつかない、さらにそのスマホはリビングのテーブルに置きっぱなし」

という状況になる可能性も想像できますし、

「ネットワークあるいはアプリに不具合が発生してしまい、タップしても正常に照明をオン・オフしてくれないし、温度も変えられない」

という災難に見舞われる可能性も否定できません。

いずれのケースにおいても、こういった場合には「物理スイッチがあれば……」と思うことでしょうし、私たちのこれまでの生活習慣から壁の物理スイッチを押した方が早いこともあるでしょう。

 

壁に設置するタイプのコントローラー、Winkの「Relay」

そこに目をつけたスイッチ型のスマートホーム製品を一つ、ご紹介します。

それはアメリカのIoTソフトウェア企業Winkが開発した「Relay」という製品で、従来の物理スイッチから換装可能なスマートデバイスのコントローラーです。

メーカーが異なる複数のスマートデバイスを使う場合、相互接続できるかどうかが重要になってきますが、もしできない場合はそれぞれのデバイスを制御するために、専用アプリをインストールして制御するしかありません。

その点、このRelayは対応しているデバイスが100を超えていますので、対応しているデバイスさえ購入すれば、メーカーが異なっていても照明、エアコン、テレビ、スマートキー、ブラインドなどが制御できるようになります。

先ほどの項目でも述べたように、Relayは、

「スマホがいつもそばにあるとは限らない」
「物理スイッチを押した方が早くて便利な場合がある」

という「物理スイッチがないと困ってしまう可能性」がある状況を想定して開発されたものです。

 

Appleが特許を取得したスマートホームにも応用可能な「仮想スイッチ」とは?

壁に設置するタイプの物理コントローラーが人気の一方で、Appleは2017年9月26日、アメリカ特許商標庁(USPTO)に出願していた「仮想スイッチ」が無事に登録されたと発表しました。

この仮想スイッチは「FLEXIBLE ROOM CONTROLS」という名称で、簡単にいうと、プロジェクターによって壁などに仮想スイッチを投影する技術を用いたものです。

その仮想スイッチを人間が触れたり、動かしたりすると赤外線がその動きを検知して、連携しているスマートデバイスがコントロールできるようになるほか、壁と手の距離を判定することも可能です。

その距離によってデバイスをどのようにコントロールするか設定したり(例:1cmでオン・5cmでオフなど)、上げる、下げる、回す、止めるといったジェスチャーによってコントロールしたりすることも可能になると言われています。

結局、Relayのユーザビリティを知れば、「スマートホームにも物理スイッチはまだ必要かもしれない」と感じますし、Appleの仮想スイッチの魅力を知れば「スマートホームにはいずれ物理スイッチはなくなるかもしれない」と感じてしまいます。

 

人々の生活は徐々にスマートホームに“スイッチ”していくが…

世界150ヶ国20万人のエキスパートが互いに連携して経営戦略、M&I、ITアドバイザリーなどの専門的なサービスを提供するコンサルティング企業、デロイトトーマツコンサルティング合同会社が発表した資料をみると、消費者の意識が分かります。

参考資料「スマートホームへ“スイッチ”する未来」(デロイトコンシューマーレビュー)によれば、

・何らかのコネクテッドデバイスを所有している人…52%
・今後1年以内にコネクテッドデバイスの購入を予定している人…30%
・コネクテッドデバイスによって生活が快適になることに期待している人…66%
※コネクテッドデバイス=スマートデバイスのこと
というデータがあり、世界中でIoTデバイス(インターネットに接続したモノ)に触れている人は2015年で30億人、2016年では40億人にまで増えた可能性があることを示唆しています。

このように、私たちの生活は着実にスマートホームへとスイッチしていきますが、果たして物理スイッチはどうなっていくのでしょうか?仮想スイッチが一般的となってくるのでしょうか?

少しだけ興味を持って、スマートホームのスイッチの行方に注目してみたいと思います。

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