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スマートホーム(スマートハウス)の記事
2019.09.17
2019.12.23

スマートシティへの第一歩 各戸で電力を融通し最適化するIoTマンションが登場

記事ライター:Yuta Tsukaoka

ホームIoT向けの展示会に行くと、電力回りの製品が非常に多いことに気がつく。
いわゆる「消費電力の見える化」を実現するHEMSや、太陽光発電システムの効率化のためにセンサー類を組み合わせたものがほとんどだ。

そんな中、静岡県長泉町のあるマンションでは、静岡ガスが開発した仕組みで「各世帯で電力を融通し合う」という仕組みがあるという。

このニュースを報じた日本経済新聞の記事をもとに、これからIoTとインフラがどう繋がっていくのかを考えてみよう。

参考記事:IoT活用の現場(4)インフラ 世帯間で電力融通 
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO49027050W9A820C1TJ1000/

キーワードは「ダイナミックプライシング」

まず、このマンションの事例から少し離れて「ダイナミックプライシング」というワードについて解説しよう。

シンプルに言うと、受給のバランスに応じて金額を変動させる仕組みのことだ。

身近な例だと、Uber Eatsの配達料がわかりやすい。
雨の日やランチタイムなど、宅配サービスの需要が高まっているとき、Uber Eatsの配達料は値上げされるのを知っている読者は多いだろう。
これはもちろん、宅配の需要に対して、配達パートナーの数が減るからだ。需要が大きく高まるときに金額を上げる仕組みなので、ダイナミックプライシングの1つと見ることができる。

需要のバランスを見るためには、データが必要だ。
Uber Eatsの配達料のように、企業が自社サービスのために利用するならあまり課題にはならないが、海外でダイナミックプライシングの導入が大きく進んでいる交通分野ではちょっと話が違ってくる。

たとえば、新宿から渋谷へ移動するときのことを考えてみよう。

交通手段は3つ。電車、バス、タクシーである。
そのうち、タクシーの需要が過多で値上げするというのも、ダイナミックプライシングの1つだ。
だが、実際に導入されている仕組みはもうちょっと複雑で、エコな移動手段として電車やバスの料金を下げてそちらへ人を誘導したり、逆に電車が事故で止まってしまっている場合には乗り合いのタクシーで料金を下げたりもする

つまり、都市の中で人がどう動いているのか、インフラの状態は正常かどうかといったビッグデータを元にしてAIによる自動プライシングを行うわけだ。

フィンランドなどでは、この考え方が電気料金にも反映されている。

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ダイナミックプライシングの第一歩

電力のダイナミックプライシングに向けた第一歩

では、話を静岡県長泉町のマンションに戻そう。

今回、静岡電力が導入した仕組みは、マンション全体の電力消費量をモニタリングする計測器と、各戸に設置されたエネファーム(※1)の組み合わせで実現している。

たとえば、101号室は電力が余っていてエネファームの発電で自宅の需要を満たせているとしよう。一方、102号室では逆に電力の需要が高くてエネファームの発電だけでは足りていない場合、101号室から102号室へ余った電力を送る。
すると、101号室は売電で利益が発生し、102号室では電気会社から電力を買わずに済むので節約になるというわけだ。

※1 エネファーム:都市ガスの水素を利用して発電する家庭向けの燃料電池。ガスで発電しながら、その熱でお湯を作ることで電気とガスの両方を節約できる。

今回はマンション1棟のみ、しかも日本初なのでこのマンションでしか使えない仕組みなのだが、これを自治体単位で実現できれば、電気料金のダイナミックプライシングが叶う。

街中の電力消費状況と発電状況を一括して管理できる仕組みを使って、電力需要の低いところから高いところへと電力を送り、売電による利益と節電による料金節約の両方が実現可能だ。

これまで、使った電力量に応じた従量制の料金を払ってきた電気料金にダイナミックプライシングが導入されれば、多くの場合、節約に繋がるだろう。家計はもちろん、発電所で使われる石油燃料の節約にもなる。

ホームIoTからスマートシティへ

日本国内では、工場など産業用を除いてIoTといえばほとんどが家庭向けの「ホームIoT」だ。
それも十分に便利だし、私は興味を持って記事を書き、実際に使ってもいるが、より範囲を広げて街全体のIoT化 ーーいわゆる「スマートシティ」が実現すると全く違った世界が見えてくる。

今回例にとった交通や電気料金のダイナミックプライシングはもちろん、インフラ整備や防犯、店舗への集客など広範囲にわたって大きな変化が訪れるだろう。

日本初となった静岡県長泉町のマンションの事例は、この第一歩となる。
20年から30年で、街の様子はすっかり変わる…かもしれない。

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