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2019.04.09
2019.04.12

Netflixが牽引する「エンタテック」の素晴らしさと悩ましさ(前編)

記事ライター:Yuta Tsukaoka

みなさんはNetflixは見ているだろうか?
私の自宅にあるテレビは、ほぼVOD専用端末と化していて、Hulu、AmazonPrime、U-NEXT、そしてNetflixを毎日のように見ている。
そういう読者も今や多いだろう。今後5年以内にVODの市場がDVD・BDのセルとレンタルの市場を上回るという調査レポートも出ている。(GEM Partnersによる調査レポート https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000013190.html

さて、毎日のように楽しく刺激的なコンテンツを届けてくれるVODサービスだが、その裏には非常に進んだテクノロジーが隠れていることをご存知だろうか。私はそれをこの記事で「エンタテック」と呼ぶことにした

私たちを楽しませ、そして時には危険にもするエンタテックの世界をご紹介しよう。

Netflixが採用してきた評価制度の変遷

過去にも記事にしたことがあるが、Netflixはこれまで2度、作品の評価制度(レビュー)を変えてきている。
サービス開始当初はPCから文章でレビューを書き込むことができたが、これは昨年に廃止された。次に、星5つの段階評価からサムズアップかサムズダウンの二択評価に変わっている。

インターネットには、ユーザによるレビューそのものがコンテンツという文化がある一方、「善意の大衆」による評価への信頼性が揺らいでしまえば無用の長物になるというデメリットもある。
最近のAmazonに顕著だが、自分たちの売上を上げるために購入者の「ふり」をして高評価をつけるというような行為は、そのデメリットのもっともわかりやすい例だろう。ユーザによるレビュー制度は、他者への貢献を前提とした「善意の大衆」に支えられているべきものなのだ。

しかし、エンタメ作品に軸を移して考えてみると、この法則の捉え方には若干の変更が必要となる。
たとえば、不朽の名作として名高い「ゴッド・ファーザー」だが、冒頭の結婚式のシーンを退屈だと感じて「星1つ」のレビューをする視聴者がいても不思議ではない。

一方、冒頭の退屈さがその後のストーリーにリアリティと重厚感を与える効果があることを知っていれば、それが適切な評価ではないとも言えるだろう。しかし、「冒頭だけ見たけど退屈だった」と星1つの評価をつけることを批判することはできない。
なぜなら、それはそれで「退屈な作品に他者が時間をとられないように」という善意による行動と見ることができるからだ。

つまり、Amazonで購入したWi-Fiルータが遅いとか早いとかいうような「明確なメリット・デメリット」を判断しにくいエンタメ作品においては、「善意の大衆」の力をもってしてもユーザの全体幸福には必ずしも繋がらないのだ。

レビュー制度が機能しないエンタメ作品にAIを導入

そこでNetflixがとった戦略は、AIによる自動レコメンドだ。
いま、Netflixはサムズアップかサムズダウンによる評価しかできない上に「◯%の人がこの作品にサムズアップしました」というような表示すらない。そのかわり「マッチ度」が表示される。

この「マッチ度」は、ユーザ個人とNetflixユーザ全体それぞれの「視聴履歴」と「評価履歴」の相関から導き出される。つまり、似た嗜好を持つユーザたちの多くがサムズアップした作品であればマッチ度が高く、逆であれば低く表示されるという仕組みだ。

つまり、Netflixはユーザによる評価よりも、AIによるレコメンドのほうがユーザの全体幸福に繋がると考えたのだろう
これが、エンタテックだ。

問題点も指摘される「エンタテック」

このように、Netflixはエンタテックを駆使することでユーザに「より良い体験」を提供しようと努力している
一方、詳しくは後編で解説するが、人種や性的嗜好などのきわめてプライベートな情報までもを利用しているのではないかという指摘もある。

私たちはNetflixのAIによって数々の新しい作品に出会う一方、何をNetflixに差し出しているのか。
後編ではエンタテックの問題点について考えてみよう。

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