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IoTを支えるLPWAは何が革命なのか?(前編)

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低電力・広範囲のLPWA

まず、LPWAという言葉について説明しよう。これは、BluetoothやZigbeeというような単一規格の名称ではなく、「Low Power Wide Aria」の略で、「低電力・広範囲」の通信規格全体を指す一般名称だ。

私たちに馴染みのあるLTEや3Gなどの携帯電話回線は、広範囲ではあるが低電力ではないのでLPWAとは呼ばない。

また、BLE(Bluetooth Low Energy)やZigbeeは低電力ではあるが、せいぜいが数十メートルの範囲でしか通信できないので、これもまた、LPWAとは呼ばない。
Wi-Fiは高電力な上に通信範囲も狭いのでコンセプトとしては真逆に位置する。

LPWAと呼ぶための厳格な基準があるわけではないのだが、「電池だけで数年〜十数年稼働し、伝送距離が数十キロ以上」のものをこう呼んでいる。この基準に照らせば、携帯電話回線やBluetooth LE、ZigbeeがLPWAの仲間に入っていないのが分かるだろう。

低電力で広範囲。この基準をクリアするためには捨てなければならないものがある。速度である。

LPWAと呼べる仕様と高速通信を両立させれば世界を席巻するだろうが、今のところその目処も立っていなければ予定もない。個別の規格によってさまざまだが、通信速度はせいぜい100kbps〜500kbps程度。いま私たちが普通に使ってるLTE回線の数百分の1という超低速度である。

いくら電池持ちがいいと言ってもその速度じゃ…と思う読者もいるだろう。そう、携帯電話を運用するにはあまりに遅すぎる。ADSL時代に後戻りだ。しかし、IoTを運用するには必要十分な速度なのである。

LPWAと産業用IoT

IoTと言うと ――特にこのiedgeの中では「ホームIoT」を指す。住宅内でWi-FiやBluetooth、Zigbeeを使って通信し、照明や家電を操作するものだ。しかし、実はIoTというコンセプトの恩恵をもっとも大きく受けているのは産業界である。

数百メートルに及ぶベルトコンベアを持つような巨大工場には、そのベルトコンベア上で作業をする機械が数十、数百とある。かつては、それらひとつひとつを作業終了後にチェックしていた。そうでなければ、稼働中にトラブルが起きていちいち対処することになる。

しかし、IoTを導入することで機械の不調を工場全体で自動監視することが可能になった。規定を外れた動作をしている機械、わずかな不規則振動などをセンサーによって感知し、IoTネットワークを通じて管理者に知らせることができる。これによって生産性は飛躍的に向上し、工場に配置する人員も少なくて済む。

しかし、初期には問題もあった。たとえばWi-Fiは同時接続数が限られている(仕様上は32接続まで)し、BluetoothやZigbeeでは通信範囲が狭すぎて工場全体の監視に向かない。それを解決するために3Gや2Gといった携帯電話回線が採用された時代もあったが、1回線あたり月額100円ほどかかるため、工場全体では月額で数十万円〜数百万円のコスト増になってしまう。

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そこで、LPWAだ。

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