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発展し続けるスマートホーム市場が抱える様々な課題について

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あらゆる「モノ」がネットワークに「繋がる」時代

IoTという言葉はここ1年~2年の間に各メディアなどで頻繁に見かけるようになりました。詳しくは知らないけど言葉は見聞きしたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

IoTとは「Internet of Things」の略で、日本では「モノのインターネット」などと訳されています。

「モノのインターネット」と言っても抽象的で、明確な定義や基準もありませんので広義になってしまいますが、ざっくり「あらゆるモノがインターネットを介して繋がり、相互作用したり制御し合ったりする」と覚えておきましょう。

この場合のモノとは、テレビ、エアコン、照明、オーディオ、給湯器、炊飯器、洗濯機、冷蔵庫、サーモスタットといったいわゆる家電製品や、セキュリティカメラ、庭のガレージ、スマホやタブレット、医療機器など多岐に渡ります。

あらゆるモノがインターネットを介して繋がり、一括制御したり、状況に合わせて自動運転してくれたりするようになると、私たちの生活は驚くほど便利で快適なものになり、また大きな安心感を得られるようになります。

これらIoTデバイスやそれらを備えたスマートホーム(スマートハウス)が抱える課題について、2点ほど考えてみようと思います。

 

IoTデバイスやスマートホーム(スマートハウス)が抱える課題

電波や通信規格

まず、そもそも従来の家電はスマートホームありきで開発・製造されたものではありません。インターネットに繋がるということは電波を発するということですので、「干渉」という問題が発生します。

例えば、どの家庭にもある電子レンジの周波数は2.4GHzの電波に干渉するとされています。実はこの2.4GHzという周波帯は無線LAN(Wi-Fi)と同じなのです。

「Wi-Fiルーターを電子レンジの近くに設置しないように」と言われた覚えがある方も多いのではないでしょうか?

干渉してしまうことでそれぞれのデバイスが持っている本来の性能が十分に発揮されなくなってしまうという問題があります。

ここに関しては、それぞれのIoTデバイスを2.4GHzとは異なる帯域でゲートウェイやハブと呼ばれる基幹製品に接続し、その基幹製品のみWi-Fi等でインターネットに繋ぐなど、各メーカーも様々な工夫を取り入れています。

また、IoTデバイスやそれらを用いたスマートホーム市場には家電メーカー、ITメーカー、ハウスメーカーなど様々な分野の企業が参入しています。例えば、家電メーカーといっても複数のメーカーがあり、ここでスマートホーム(スマートハウス)の課題となるのが、異なるメーカーの製品同士の「連携」です。

各家庭にある家電は様々なメーカーの製品であるケースがほとんどですので、A社の製品(テレビ等)を正常に作動させるには、A社の機器(リモコン等)を用いなければならないなどの問題が発生します。

これに関しては、どのメーカーのどの年式のどの型番であっても連携が可能、といったゲートウェイやハブが開発されて販売されていますので、徐々にクリアになっていくことと思います。

しかしながら、通信規格はまだ統一されておりませんので(そもそも全てを統一する必要はないのかもしれませんが)、ユーザーエクスペリエンスという点においては決して高いとは言えないことが、現在のスマートホーム(スマートハウス)の課題として残っています。

セキュリティやプライバシー

次に挙げられるのが、直接的に消費者に関わる「セキュリティ」と「プライバシー」に関するスマートホーム(スマートハウス)の課題です。

インターネットを介して繋がるということは、ウィルスなどのマルウェア、ハッキング、サーバー攻撃といったあらゆるリスクを伴うことを意味します。

今まではPCのセキュリティ対策だけをしていれば十分と思っていたものが、あらゆるモノが繋がることで管理をするのが大変になってしまう、手が回らない、管理が行き届かないといった可能性が非常に大きくなります。

また、例えばドア開閉センサーなどが外出を検知すると、その情報はデバイスに保存されますので、ハッキング被害に遭って不在の情報が知れ渡ってしまう、あるいはスマホなどを紛失して情報が伝わってしまうというリスクもあります。

特に日本はセキュリティに関する考え方が必ずしも高いとは言えませんので、セキュリティとプライバシーに関するスマートホーム(スマートハウス)の課題はまさに今、クリアにさせておくべき問題です。

 

私たち消費者がリスクに対する心構えや知識を持っておくことも大切

今回ご紹介したスマートホーム(スマートハウス)の課題は、ごく一部に過ぎません。

もちろん、各メーカーも国もスマートホーム(スマートハウス)の課題については把握していますので、様々な対策を練り、製品の開発やルール作りを進めているところですが、例えば自動車のリコールのように運用してみなければ分からない部分も少なくありません。

IoTデバイスを備えたスマートホームは私たちの生活を便利で快適なものに変えてくれることは間違いありませんが、私たち消費者も一人一人がリスクに対する心構えや知識を身につけておくことも大切になってくるのではないでしょうか。