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災害対策は可能?スマートホームに求められるもの

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災害に強いスマートホームとは?

世界には十数枚の“プレート”が存在していますが、日本列島周辺はそのうちなんと4枚ものプレートの境界が存在しており、また内陸部においては1,500箇所以上の“活断層”があることが分かっています。

実に、地球上で発生する地震のおよそ2割が日本列島付近で起きていると言われているのです。それに加えて近年では台風や豪雨などの災害も増えつつあり、世界有数の地震大国(災害大国)と言っても過言ではない状況になってきています。

ひとたび大地震や豪雨などの自然災害が発生すると停電が発生したり、上下水道や電話、交通機関などのライフラインは機能不全となったりで、多くの方が避難生活を強いられることになります。

そこで求められているのが“災害に強い住宅”です。災害に強い住宅と言えば、スマートハウスを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

事実、HEMSシステム、太陽光発電システム、家庭用蓄電池システムなどを導入しているスマートハウスではエネルギーが効率的に利用され、創エネ・蓄エネも可能となっています。

例えば、家庭用のリチウムイオンポリマー蓄電池を導入していれば、万が一停電が発生した際に蓄電されているエネルギーを利用することができますので、

・冷蔵庫
・トイレ
・照明
・お湯
・ガスコンロ

などが使え、非常用コンセントから、

・パソコン
・スマホ
・電気ストーブ
・扇風機

なども使うことができます。もし蓄電池を導入していなくても、太陽光発電システムがあれば、発電中に限っては上記の家電を使うことも可能でしょう。

では、近年日本でも注目を浴びつつある“スマートホーム”においては、災害の際の活用はどうでしょうか?

あらゆるモノがインターネットに接続されて相互通信を行い、私たちの生活をより豊かなものにしてくれるスマートホームですが、災害によってインターネットが遮断されると全てのデバイスが作動しなくなり、一気に生活がアナログ化してしまうといったリスクが考えられます。

“災害に強いスマートホーム”を目指すには、その国の災害発生状況などに応じて、災害を想定したスマートホーム用のIoTデバイスやサービスの開発が必要になってくるのではないでしょうか。

 

災害時を想定したスマートホーム関連のセキュリティサービス

災害時、特に避難所生活を強いられることになった場合に心配なのが“火事場泥棒”の存在です。残念ながら災害発生時には少なからず火事場泥棒が現れます。

そのため電力やエネルギーの確保に加えて、セキュリティの面でも強化が求められています。

たとえば、日本ではすでに、日本システムウェア株式会社(NSW)が、イスラエルESSENCE SECURITY INTERNATIONAL社製「スマートホーム&セキュリティサービス」の日本における販売代理店契約を締結し、「Toami@Home」というサービスを提供しています。

・ホームゲートウェイ
・人感センサー
・ドアセンサー
・センサーカメラ
・防犯サイレン
・漏水センサー

などのデバイスに加えて、Z-Wave(無線通信プロトコルの一種)に対応しているサードパーティー製のIoTデバイスを接続して使用することも可能になっています。

これらの各デバイスは、クラウド経由でスマホアプリから管理や制御が可能で、災害時や停電などが発生しても各デバイスによる警備を継続して行えるよう、バッテリーから電源確保したり、SIMカードによる通信機能の二重化を図ったりといった対策を行っています。

 

スマートホーム向けIoTデバイスで災害対策は可能か

現在続々とリリースされているスマートホーム向けのIoTデバイスやサービスで、災害対策は可能なのでしょうか?

各デバイスに搭載されたセンサーなどが取得した情報の多くは、クラウド上に集約・蓄積され、AIによってユーザーごとにカスタマイズされた最適なサービスを提供してくれます。

災害発生時、クラウドサービスを提供する企業は、電気が使われている、デバイスを利用した形跡がある、人感センサーが人の動きを検出している等の情報を元に安否確認を行うことができるかもしれませんし、またそれらの情報を国や自治体などと共有することで、安否確認ができるかもしれません。

しかしながら、前述のように停電が発生したりインターネットが遮断されてしまったりした状況では通信ができなくなってしまいますし、また行えたとしてもスマホなどの電池が切れてしまった場合、やはり各デバイスの機能は失われてしまうと考えられます。

一方で、活用出来るスマートホームの災害対策としては位置情報の共有があります。「直前までどこにいたか」ということであれば分かるかもしれませんので、行方不明者の捜索においては活用できる可能性もあります。

ただし、クラウド自体が機能しなくなってしまえば、それらの情報を活用できませんし、またユーザーが多ければ多いほど、個人を特定するまでに時間を要することになります。

トータルで考えると、スマートホームにおいては災害発生時の電力確保やインターネット通信の確保などが大きな課題となりそうです。

災害が多い日本においては、スマートハウスとスマートホーム両者の長所を取り入れた災害に強い住宅を目指す動きが出てきてもおかしくないでしょう。